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【報告書】第19回HHPセミナー

  1. 開催概要

 

主催:文部科学省特別経費プロジェクト

 

「ヒューマン・ハイ・パフォーマンスを実現する次世代健康スポーツ科学の国際研究教育拠点」

 

筑波大学大学院人間総合科学研究科 体育科学専攻・コーチング学専攻・スポーツ医学専攻,システム情報工学研究科,知能機能システム専攻

 

講演者:Nicolas Folker 氏 (Folker Aquatic Strength & Speed Training 代表)

 

セミナータイトル:Latest theory about functional training to enhance top level athletic performance

 

世話人:仙石 泰雄 (筑波大学体育系助教),高木英樹(筑波大学体育系教授)

 

1日目(講義)

 

日時:平成27年5月19日(火) 14:00~16:00

 

会場:筑波大学 5C301

 

参加人数:53人

 

2日目(実技)

 

日時:平成27年5月20日(水) 14:00~16:00

 

会場:屋内トレーニング施設 T-Dome

 

参加人数:80人

 

 

  1. セミナー概要

 

セミナータイトル:「Latest theory about functional training to enhance top level athletic performance」

 

 本セミナーでは,セミナー開始に先立ち,仙石泰雄助教による講演者紹介が行われた.講演者のNicolas Folker氏は,南アフリカ競泳男子代表として,オリンピック(2000年,シドニー)に出場した経験を持ち,現役引退後は,自らの経験を活かし,ストレングスコーチとして数々のオリンピックスイマーのコーチングに携わってこられた.本セミナーでは,アメリカで行われている最先端のファンクショナル・トレーニングに関する理論と実施方法について,2日間にわたって講義と実技が行われた.

 【1日目】

 1日目の講義では,Folker氏が代表を務める「Folker Aquatic Strength & Speed Training」の概要や,ファンクショナル・トレーニングの重要性,トレーニングメニュー作成の際のポイントなどについて説明がなされた.

 ファンクショナル・トレーニングとは,身体や動作の機能向上を目的としたトレーニングである.スポーツにおいて最大のパフォーマンスを発揮するためには,身体を機能的に動かし,目的に合った動作を効率的に行うことがたいへん重要である.ファンクショナル・トレーニングは,身体の安定性や関節の動き,力の発揮など,効率的な動作を引き出すために必要な能力を効果的に鍛えることができる.講義の中では,ファンクショナル・トレーニングについて,実際のトレーニングメニューの例やトレーニング風景を写した写真などを交えて,分かりやすく説明されていた.

 また,実際にトレーニングを行う際のポイントやトレーニングメニュー作成時の注意点に関しても多くの説明がなされた.例えば,同じ競技を行っていたとしても,選手のレベルによって,身についている能力やパフォーマンスは大きく異なる.コーチは,トレーニングメニューを作成する際,こうした能力やパフォーマンスの違いを加味した上で,それぞれの選手に合ったプログラムを考える必要がある.選手全員に同じメニューを同じ内容で行わせるのではなく,選手1人1人にとって必要な能力を効果的に伸ばしていくことがたいへん重要である.

 講義は主に競泳選手のトレーニングを中心に話が進められたが,全ての競技において通じる部分が多くあり,講義後の質疑応答では,様々な競技の選手やコーチから多くの質問が出され,活発な議論が交わされていた.

 

【2日目】

 2日目は,1日目の講義内容をふまえて,実際にトレーニングの実技が行われた.本学水泳部の選手・スタッフはもちろん,各運動部から多くの選手やトレーナーが参加し,会場は大盛況であった.

 参加者は,Folker氏が作成したプログラムをWarm-up,Main set,Recoveryの流れで順番に行った.はじめのWarm-upでは,主に筋肉を温めることを目的に,ステップやジャンプなどのメニューが行われ,続くMain setでは,重りやメディシンボール,シスチューブ,TRXなどを用いて,より機能的なトレーニングが行われた.そして最後のRecoveryでは,体幹の筋肉を鍛えるトレーニングや身体のストレッチ等が行われ,およそ2時間にわたるプログラムが終了した.それぞれのトレーニングメニューにおいて,実際に見本を示しながら,使っている部位や得られる効果,動作を行う際のポイント等が分かりやすく説明されていた.

 トレーニング後,参加した選手やトレーナーから,メニューについての質問や意見等も多く出され,活発な議論が交わされていた.

平成27年5月19(火)・20日(水)

所属:人間総合科学研究科  

氏名:川合 英介