【報告書】第1回HHPcafe
I. 開催概要
主催:文科省特別経費プロジェクト「ヒューマン・ハイ・パフォーマンスを実現する次世代健康スポーツ科学の国際研究教育拠点」
日時:2015年7月7日(火)16:00-17 :30
会場:筑波大学体育・芸術専門学群棟 5C213
参加人数:30名
題目:体操に豊かさを与えるリズム考 -認知脳科学からのアプローチ-
講演者:
河瀬諭(相愛大学総合研究センター 客員研究員)
知念かおる(公益社団法人日本エアロビック連盟 理事長)
菊池章人(SPARTS センター センター長)
世話人:征矢英昭(筑波大学体育系教授・HHPコアリーダー)
II. 講演概要
体操の実践にとって、音楽はもっとも重要な環境要因のひとつといえる。音楽の効果的な使用は、運動動作をリズミカルにするだけでなく、気分を楽しく前向きにさせ、それが運動効果を高める可能性が示唆される。HHPcafe vol.1では、音楽認知心理学がご専門の河瀬諭氏をお招きし、HHPプロジェクトの一環として開発された「2分間SPARTS体操」や「スローエアロビック」を例として豊かな体操にふさわしいリズムの在り方について、意見交換がなされた。
まず、河瀬氏より、動きと音楽、特にリズムとの関係について講演がなされた。初心者がダンスを覚える際、メロディーなども含んだ音楽全体ではなく、リズムだけを聴かせた場合の方が振り付けを覚えるスピードが早かったという研究結果や、登場人物の動きと音楽のリズムなどを一致させることで動きの臨場感を高める音響テクニック(ミッキーマウシング)の例が紹介され、ヒトの動作とリズムとの間に深い関係があることが示された。次に、知念氏よりスローエアロビックの概要と筑波大学とのこれまでの連携について紹介がなされた。その後、スローエアロビックのいくつかの典型的な動作を、スローエアロビックに適したリズムの候補として期待されている「3連符」のリズムに合わせて実際におこない、参加者との意見交換がなされた。菊池氏からは、これまでの東北被災地区での「2分間SPARTS体操」の取り組みが紹介され、体操に合わせて独自に作成した音楽に合わせて参加者とともに実際に動きながら説明がなされた。予定していた終了時間が大幅に遅れてしまったため、総合討論に十分な時間を割くことができなかったが、体操に最適な音楽を考える上で音楽のリズムに焦点を当てる重要性が確認できた。一方、リズムだけでなくメロディーやハーモニーも含めて音楽全体として醸し出される「雰囲気」も体操時の気分に大きな影響を与えることも示唆され、運動と音楽に関する研究の広がりが感じられた。
報告書作成:諏訪部 和也